青山学院大学 総合研究所
            AOYAMA GAKUIN UNIVERSITY RESEARCH INSTITUTE

SDGsゴール16と国際協力NGO:市民社会スペースをめぐるネットワーク形成の成果と課題

2019年度 SDGs関連研究補助制度 採択課題

研究者:高橋 良輔

本研究の目的は、SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」達成に向けた国際協力NGOの活動実態を「市民社会スペース Civic Space」の観点から明らかにすることである。

研究方法としては、近年、市民社会スペースをめぐる問題に取り組んでいる国際協力NGOのネットワーク組織「市民社会スペースNGOアクションネットワーク(Japan NGO Action Network for Civic Space:NANCiS)」の協力を得て2日間の研究会を開催し(2020年2月10―11日・青山学院大学相模原キャンパス)、市民社会スペースをめぐるネットワーク形成の成果と課題を析出している。

まず研究会初日には、テーマA「市民社会スペースの危機とはなにか――実態分析」を設定し、NANCiS関係者から問題提起と3つの報告を受けた。そこでは、世界における市民社会スペース狭隘化の現況、2019年夏の愛知トリエンナーレで顕在化した問題群、さらには北海道におけるヘイトスピーチや先住民族をめぐる対抗運動の諸事例、そしてNANCiSによるNGOへのアンケート調査結果が提示されている。それぞれの意見交換では、日本社会における市民社会スペースの狭隘化がしばしば非公式かつ非制度的な侵食の形態をとり、当事者以外にはきわめて認知され難い実態が浮かび上がってきた。

また2日目午前中の研究会では、国際協力NGOセンター(JANIC)の協力のもと、テーマB「市民社会スペースをめぐる国際動向――課題分析」に関する2つの報告を通じて情報を収集した。経済協力開発機構開発援助委員会(OECD-DAC)では、市民社会とメンバー国との協働に向けてガイドラインが検討されており、カナダなどの外務省はそうした動きを先取りする政策を策定している。これに対して日本政府は必ずしもそうした動向に敏感とは言えず、グローバル/リージョナルなレベルで形成されているNGO間の国際的ネットワークと国内社会との接続もいまだ限定的であることが明らかになった。

これを受けて2日目午後には、テーマC「SDGs16&17達成に向けたネットワーク形成の成果と課題」を検討している。その際には、NANCiSによる法曹界との連携や社会的発信の取組みを共有したうえで、今後のSDGs16 & 17 達成に向けたネットワーク形成の成果と課題および今後の戦略を協議し、SDGs16の達成とSDGs17の達成が深く連動することが確認された。なお、これら研究会の成果の詳細については、別途報告書をとりまとめており、青山学院大学総合研究所およびNANCiSのホームページで公開予定である。