青山学院大学 総合研究所
            AOYAMA GAKUIN UNIVERSITY RESEARCH INSTITUTE

環境調和型反応によるキラルインドールの合成

2019年度 SDGs関連研究補助制度 採択課題

研究者:武内 亮

医薬品はわれわれの健康を守り、生活の質を維持するのに欠かせない役割を担っている。医薬品は有機分子であり、化学反応によって合成されたものが大半である。有機分子は三次元の形を持っており、実像と鏡像が重ならない鏡像異性体が存在する(右手と左手の関係になる。)。鏡像異性体は異なる薬理作用を持つものが多く、医薬品としてはキラル医薬品、単独の鏡像異性体のみとして供給されることが望ましい。なぜならば、片方は薬になり、もう片方は毒になることがあるので、薬と毒を合わせて服用することになるからである。本研究では、医薬品の基本骨格として重要であるインドールからキラルインドールを合成することを目的として行った。以下の条件を満たす合成反応の確立を目的とした。

  • (1)触媒を選択することによって両方の鏡像異性体(右手型分子と左手型分子)を自在に作り分けできる合成反応であること。
  • (2)副生成物が環境に悪影響を与えないこと。

これらの条件を満たすことで、持続可能なものづくりの技術となる。

イリジウム触媒と光学活性配位子からなる触媒と酸の共同作用により、インドールとアリルアルコールから光学活性インドールが高収率かつ高選択的に得られた。光学活性配位子の鏡像異性体を用いることで、生成物のもう一方の鏡像異性体が同じ収率と選択率で得られる。インドール環の側鎖の末端二重結合を起点とする分子変換により、より構造の複雑な光学活性インドールに導くことができ、医薬品合成に役立つインドールの供給が可能となった。また、本反応の副生成物は水だけなので、副生成物による環境汚染は全くない。本反応は、アルコールとインドールの芳香環に種々の置換基を持つ基質に適用可能で、ほぼ同程度の収率と鏡像体過剰率で種々の光学活性インドールが得られる。これらインドール生成物を化合物ライブラリーとして提供可能である。